
唾液を介して菌は感染しますが、大人の口内ケアや歯磨き、食習慣がむし歯予防には重要です。
むし歯(虫歯)は、原因となる口の中の細菌が唾液を介して人から人へうつることによって起こるとされています。実際に、乳児は生後早い時期から親由来の口腔細菌を獲得することが報告されており、日常のふれあいや会話などの中で自然に伝わると考えられています。
ただし、現在ではむし歯は特定の菌だけで起こるのではなく、口の中のさまざまな細菌が関わる病気と考えられています。そのため、スプーンやコップといった食器の共有を避けることだけではむし歯を防げるとは限らず、予防効果ははっきりしないとする研究もあります。
一方で、キスなどの親子のスキンシップは安心感や信頼関係を育て、発達を促す大切な関わりとされています。感染を気にして過度に控える必要はないといわれています。大切なのは、「うつさないこと」だけにとらわれすぎず、親子ともに口の中の環境を整えることです。家族みんなでケアすることが、子どものむし歯予防につながると考えられています。
本当にそれだけ?からだと菌の最新情報
新しい視点|むし歯は「どんな菌が定着するか」が重要とされています
むし歯の原因となる細菌は親子間でうつることが広く確認されていますが、重要なのは「うつるかどうか」だけではなく、「どのような菌が最初に定着するか」という点です。
研究では、唾液を介した日常的な接触の中で菌が移ることが多く、その後のむし歯のなりやすさにも関係する可能性が示されています。つまり、むし歯は単なる感染ではなく、口の中の環境がどのように形づくられるかという視点で考えられています。
だからこそ、子どもへのケアだけでなく、親自身が日頃から口の中の状態を整えておくことも大切と考えられています。歯みがきやフロス、定期的な歯科受診などを通して菌のバランスを整えることが、結果として子どもの口の環境づくりにもつながる可能性があります。
これから変わるかも|むし歯予防は「うつさない」より親が見本になることが大切に
親の口の健康は、菌をうつさないことだけでなく、子どもの習慣づくりにも関わる可能性があります。研究では、親の歯みがきや歯科受診の習慣が、子どもの口の健康状態と関連していると報告されています。
つまり、子どもに「磨こうね」と伝えるだけでなく、親自身が毎日ケアする姿を見せることも予防の一部と考えられます。これからは、むし歯予防を「感染を防ぐこと」だけでなく、「親子で環境と習慣を整えていくこと」として捉える視点が広がっていきそうです。
本項目は、研究報告をもとに編集部がまとめた「新しい視点」です。まだ研究段階の内容も含まれるため、参考情報の一つとしてご覧ください。
参考文献
- 乳幼児期における親との食器共有について|一般社団法人日本口腔衛生学会 https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_20230901.pdf (2026年4月8日閲覧)
- お口の予防とケア|日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/park/prevent/ninsinji.html#2 (2026年4月8日閲覧)
- High-Level Acquisition of Maternal Oral Bacteria in Formula-Fed Infant Oral Microbiota https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35038919/ (2026年4月8日閲覧)
- The impact of parental oral health behaviors on the oral health of children https://d1wqtxts1xzle7.cloudfront.net/107819158/7025-libre.pdf (2026年04月10日閲覧)
- Mother-to-child transmission of Streptococcus mutans https://www.nature.com/articles/6401089 (2026年04月10日閲覧)