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カテゴリ:赤ちゃん

菌に触れ合うことの大切さ|菌が子どもに及ぼす影響と活用できるあそび

更新日 2026.05.12
カテゴリ 保育士さん向け情報
菌に触れ合うことの大切さ|菌が子どもに及ぼす影響と活用できるあそび

園生活の中で、子どもたちが泥だらけになって遊ぶ姿は日常的な光景です。一方で、感染症対策とのバランスに悩む保育士さんも多いのではないでしょうか。実は、乳幼児期に多様な「菌」と触れ合うことは、子どもの免疫力を育むために欠かせないプロセスです。

今回は、菌が体に及ぼすプラスの影響と、保育現場での取り入れ方について解説します。

免疫力を育てる「衛生仮説」という考え方

私たちの体には、ウイルスや細菌から身を守る「免疫」という仕組みが備わっています。乳幼児期は、この免疫システムが「何が敵で、何が味方か」を学習する大切な時期です。

医学界では「衛生仮説」という考え方があり、幼少期に清潔すぎる環境で過ごすと、免疫が正しく育たず、アレルギー疾患のリスクが高まる可能性が指摘されています。

適切な範囲で子どもたち同士で関わり合ったり、土や砂に含まれる常在菌(どこにでもいる菌)に触れることは、免疫に刺激を与え、体の反応を整える経験になるとされています。

近年の研究では、保育園に通うこと自体が腸内環境に影響し、同じ園に通う子ども同士で腸内細菌の構成が似てくることが報告されています。これは、日常的な接触の中で微生物が共有されている可能性を示しており、「人との関わり」が体の内側の環境づくりにも関係することが示唆されています。

腸内環境と子どもの心身への影響

土遊びと腸内フローラ、腸内相関

菌との触れ合いは、目に見える皮膚だけでなく、お腹の中の「腸内フローラ」にも大きな影響を与えます。土遊びなどを通じて多様な微生物に接することで、腸内の善玉菌の種類が増え、消化吸収や免疫機能が活性化すると考えられています。

また、近年の研究では「脳腸相関」といって、腸の状態が心の安定や脳の発達に関わっていることもわかってきました。豊かな自然環境で菌に触れながら遊ぶことは、子どもの情緒を安定させ、健やかな心身を育む土台となります。

都市部の保育施設に自然環境(森林の土壌や植物)を取り入れた研究では、わずか数週間で腸内細菌の多様性が高まり、免疫機能の改善が見られたと報告されています。これは、土や自然に触れる環境そのものが、子どもの体の中に変化をもたらす可能性を示しています。

保育現場で実践できる「菌活」あそび

保育の現場で無理なく取り入れられる「菌と仲良くなる遊び」の代表は、砂場や泥遊びです。泥の感触や匂いは五感を刺激し、同時に多様な微生物との接点を作ります。また、園庭の隅でダンゴムシなどの生き物を探したり、落ち葉に触れたりする活動もおすすめです。

食育の一環として、味噌作りなどの「発酵体験」を取り入れるのも効果的です。目に見えない菌の働きで食べ物が変化する様子を学ぶことは、科学的な興味を引き出すとともに、体に良い菌を取り入れる機会になります。自然の力を借りた遊びは、子どもたちの好奇心と免疫力の両方を同時に育ててくれます。

安全に菌と触れ合うための配慮と注意点

「菌が大切」といっても、すべての菌が安全なわけではありません。保育士として注意すべきは、病原性の強い菌による感染症です。例えば、動物の糞尿が混じりやすい場所や、よどんだ水たまりには、食中毒や感染症の原因菌が潜んでいる場合があります。園庭の砂場の定期的な消毒や掘り起こし、公園での砂場の選定など安全への配慮は必要です。

また、遊びの後は「適切な手洗い」を徹底しましょう。菌に触れることと、不衛生にすることは別物です。食事の前、排泄の後、外遊びの後など、生活の節目でしっかり汚れを落とす習慣をつけることで、良い菌の刺激を受けつつ、病気の原因となる菌から子どもを守る「適度な清潔さ」を維持できます。

泥遊びの価値を保護者と共有するために

子どもにとって、菌は決して「汚い敵」ではなく、体を作る大切なパートナーです。除菌が当たり前になった現代だからこそ、保育の場ではあえて土や自然に触れる機会を確保したいものです。泥だらけになって遊ぶことは、一生使い続ける免疫力を鍛えている貴重な時間といえます。

しかし、こうした遊びに対して、衛生面や安全面から受け入れにくいと感じる保護者の方もいらっしゃいます。背景には、洗濯の大変さや「不潔=病気」という不安、あるいは高価な服への配慮など、さまざまな理由があります。まずは「いつも綺麗にしてあげたいという親心」に共感を示すことが大切です。その上で、連絡帳や園だよりを通じ、泥遊びが「免疫力を高める大切な活動であること」を医学的根拠を交えて伝えてみましょう。

参考文献