
出産時の出血や授乳による鉄分不足が原因で、めまいや倦怠感などが起こりやすくなります。
産後は貧血になることがあります。特に出産時の出血によって体内の鉄分が失われることが大きな原因とされています。また、妊娠中に使われた鉄分の回復が十分でないまま授乳が始まることで、鉄分不足が続く場合もあります。
鉄分は、全身に酸素を運ぶ赤血球を作るために必要な栄養素です。鉄分が不足すると、赤血球が十分に作られず、体に酸素が行き渡りにくくなります。その結果、めまい、立ちくらみ、疲れやすさ、動悸、息切れ、頭痛などの症状が現れることがあります。
産後にこのような症状がある場合は、無理をせず休養をとることが大切です。鉄分を多く含む赤身の肉や魚、大豆製品、ほうれん草などを取り入れることも役立ちます。医療機関で貧血と診断された場合には、鉄剤が処方されることもあります。
ただし、疲れやすさやだるさは育児による睡眠不足などでも起こります。そのため、症状だけで貧血かどうかを判断することは難しい場合があります。症状が続くときや日常生活に支障があるときは、産婦人科や内科へ相談しましょう。
本当にそれだけ?からだと菌の最新トピックコラム
新しい視点|鉄不足だけでは説明できない人がいる
産後の貧血は鉄不足が主な原因とされています。しかし、同じように鉄分を補給していても改善しやすい人と、なかなか改善しない人がいます。
近年は、その違いに腸内環境が関わっている可能性が注目されています。腸は食事から摂った鉄分を吸収する場所です。腸内細菌のバランスによっては、鉄分の利用効率に差が生じる可能性があると考えられています。まだ詳しい仕組みは研究中ですが、鉄不足だけでは説明できない個人差を理解する新しい視点として期待されています。
これから変わるかも|乳酸菌で鉄の吸収を助ける研究も進んでいます
最近は、プロバイオティクスと呼ばれる体によい働きをする微生物が、鉄分の利用に影響する可能性について研究が進められています。特に乳酸菌の一部は、植物性食品などに含まれる非ヘム鉄の吸収を助ける可能性があると報告されています。
また、妊娠中の女性を対象とした研究では、乳酸菌の一種と少量の鉄などを組み合わせて摂取することで、妊娠後期の鉄の状態を保ちやすくなる可能性が示されています。
「どれだけ鉄を摂るか」だけでなく、「鉄をうまく吸収しやすい体内環境を整える」という考え方は、今後さらに研究が進む分野であり、新しい選択肢が増えていくことが期待されています。
本項目は、研究報告をもとに編集部がまとめた「新しい視点」です。まだ研究段階の内容も含まれるため、参考情報の一つとしてご覧ください。
参考文献
- 産婦人科診療ガイドライン 産科編|日本産科婦人科学会
https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00572.pdf(2026年6月11日閲覧) - Vonderheid SC, et al. A Systematic Review and Meta-Analysis on the Effects of Probiotics on Iron Absorption and Iron Status-Related Markers in Humans.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31816981/(2026年6月11日閲覧) -
The effect of Lactiplantibacillus plantarum 299v together with a low dose of iron on iron status in healthy pregnant women: A randomized clinical trial
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/aogs.14153(2026年6月29日閲覧)